「新装開店」した原子力規制委員会が「地域防災計画」の新たな「指針」を決定した。その重要なポイントをほとんど先送りしたものを、「指針」として、来年3月までに、それぞれの地域で「防災計画」を策定しろとのことだ。
これで原子力委員会が自治体に「ボール」を投げたつもりなら、自治体は「『指針』のていをなしていない」と、「ボール」を「返上する」のが、まっとうな対応というものではないだろうか?地域自治体の真価が問われる。
今春に立ち上げられる予定であった原子力規制委員会が、この9月にようやく立ち上がりました。私・たち「〈越境〉ネット・富山」は、滞っていた中央政府レベルの原子力災害対策が、その遅れを取り戻そうとするあまり、短期間のうちに拙速的に押し進められるのではないかと、懸念してきました。
原子力規制委員会は、「原子力災害対策指針たたき台」に対する意見を「関係自治体」に求めはしましたが、充分な議論を回避するかのように極めて短期間のうちに、自治体から指摘されている多くの重要な検討事項を先送りしたままで「指針」を「決定」しました。
残念ながら、私・たちの懸念どおりに事が進んでいるように思われてなりません。
富山県としては、この事態をどのように受け止めているのでしょうか。私・たちは、緊急に以下のことについて質問いたします。誠意をもって回答してください。
私・たちが主張している「越境」が進んでいる
今夏8月17日から9月3日にかけて、県内各自治体を訪ね、質問(情報No.7に掲載)を重ねた。そこで明らかになったことは、すでに一部の自治体では、地域防災を計画する段階から広域的連携が模索されているという事実である。その方向は、間違っていない。今後は、さらに各自治体に、原子力災害対策の計画を立てる段階や原子力を規制することへの「住民参加」の仕組み作りを求めたい。以下、訪ねた順に、話し合った主な内容を報告する。
再稼働反対を叫ぶ首相官邸前でのますます増大する人々の「声の蜂起」、また、大飯原発現地での はげしい/ねばりづよい/しなやかな 非暴力直接行動 いま、この日本列島は、もはやおさえることができない反/脱原発のアクションで満ちあふれている。
他方で、福島原発事故以来、再吟味・再検証を余儀なくされつつある各地原発で、「断層」問題が浮上し、これまでの安全規制の問題性が、覆い隠しようもなく露わになっている。
私・たちは、このような「声の蜂起」に支えられて、自らの足下の志賀原発について、再稼働を阻止することは言うに及ばず、その廃炉を要求するところまで進み出ることを、求められている。
この希望の下に、さらに県/県内自治体を訪ねることを重ねよう。
8月17日から、9月3日まで 富山県をはじめ、富山県内15の基礎自治体を訪問し、“質問”に答えてもらいました。近日中に情報8として、発行します。
国会の事故調査委員会の「結論」も、「原災法」の改定も、「原子力規制庁」の成立すら待たずに、大飯原発の再稼働を決めた中央政府 「国民生活を守るため」という危険なマジックワードを振りかざし、なりふり構わぬそのやり方は、残念なことに、原子力災害対策/原子力規制行政が、現状ではほとんど機能していないことを露呈させた。
しかし、ひるんではいられない。私・たちは、「私・たちのパブリックコミットメント」を通して、「越境ネット」の名にふさわしく、自治体に、これまでの思考の枠、行動の枠を越境した原子力災害対策/原子力規制行政の在り方を、ねばり強く求めていく。それが、中央政府から自立して、地方自治体が地域自治体へと変貌を遂げる道筋になると確信している。
未だ「原子力規制庁」はスタートせず、「原災法」の改定も済んでいない。 中央政府の混乱ぶりに合わせ、県も足踏みしているように見えるが、いざ動き出せば、斟酌なしに一気呵成に進めるのが、行政のやり方。こちらはそれに惑わされることなく、私・たちの「パブリックコミットメント」をタイムリーに県にぶつけていきたい。
本号では、第1弾に続いて、第2弾「『地域防災計画』設計の枠組み(コンセプト)を問う」を掲載する。第1弾をめぐる県とのやりとりについては、「IN/OUT」をみてほしい。
一方で、原子力安全委員会の防災指針の中間的な見直しが(たくさんの積み残しがあるままに)完了し、これからは本格的な改定の段階へと進む。他方で、富山県は氷見市と共に、北陸電力に「安全協定」の締結を申し入れた。これらの動きに、私・たちは、どのように対応するのか。
今回は、富山の未来の歴史形成へ向けて、私・たちの「パブリックコミットメント」の第1弾を特集する。
北電北陸電力
代表取締役社長 久和 進 様
越境する原子力災害対策/原子力規制行政を求める住民ネット・富山
略称〈越境〉ネット・富山
私・たちの質問は、私・たちにとっては、私・たちの「パブリックコメント」ならぬ「パブリックコミットメント」の第1弾です。 ややオーバーに言えば、私・たちは、富山の未来の歴史形成への積極的な踏み込みという意味で、「コミットメント」ということばを使っています。....続きはpdf
富山県知事
石井 隆一 様
越境する原子力災害対策/原子力規制行政を求める住民ネット・富山
略称〈越境〉ネット・富山
質問書
私・たちの質問は、私・たちにとっては、私・たちの「パブリックコメント」ならぬ「パブリックコミットメント」の第1弾です。 ややオーバーに言えば、私・たちは、富山の未来の歴史形成への積極的な踏み込みという意味で、「コミットメント」ということばを使っています。....続きはpdf
今回は、2012年2月21日に行われた第2回富山県防災会議の中の「富山県地域防災計画(原子力災害対策)の見直しに向けた論点整理と今後の検討の方向について」の審議事項を踏まえて、それについて問題点を指摘する予定であった。しかし、同会議では、大半が、「志賀原発の事業者と県及び氷見市との間で結ぶ「安全協定」は、どういうものが望ましいか」ということに関する発言だった。そこで今回は、本誌も、「安全協定」に関する発言内容に絞って批判を展開することとする。
3月議会を迎えるにあたって
氷見市議会議員の皆さんへのアピール
「3・11」から、まもなく1年がたとうとしています。
すでにご承知のように、各地の地域自治体が原発の問題にどう向き合うかが、この列島上の原発をどうするかの焦点にせり上がってきています。
あらためて言うまでもなく、そのポイントは、地域自治体が住民の「安心・安全」のために、「地域防災計画」の修正の中に、「原子力災害対策」をどのように盛り込むのか とりわけ、電力事業者との「安全協定」をどうするのか、にあります。
その意味で、私・たちは、この間、県の「防災会議」の論議の行方に、不安を感じながらも、重大な関心をもって、注目してきました。その論議によって、今後の県/県内自治体の「計画」がどのように修正されるのかが、方向づけられるからです。
私・たちは、去る2月21日の「防災会議」も傍聴していましたが、「安全協定」にかかわる堂故氷見市長の発言は、私・たちのこの間の関心に応え、不安を払拭し、私・たち県民に勇気を与えてくれました。
堂故氷見市長は、同「会議」の「専門家」委員の発言、さらには、石井県知事の発言を越えて、住民の「安全・安心」に対する地域自治体の責任についての深い自覚に立って、富山県全域にとって有意義な、勇気ある発言をされました。私・たちは、この発言を導きの糸として、県/県内自治体が、「地域防災計画」の修正に進むことを、強く願っています。
氷見市議会議員の皆さん、どうか全力で堂故市長を支えてください。そして、堂故市長と貴市議会とが一体となって、住民の「安全・安心」のために、地域の風土と文化を守り、発展させるために、「地域防災計画」の修正に向けて、力を込めて取り組んでください。
とりわけ、電力事業者との間で結ぶ「安全協定」では、貴市の「事前同意権」及び「避難を判断する際に誰でも利用可能な『生データ』へのアクセス権」を明記することに合意させることが、肝要です。
氷見市議会議員の皆さん、どうか堂故市長を支えて、勇気をもって内実を伴った「安全協定」の締結に向けて、前へ進んでください。
今回は、1月29日に、末田一秀さん(「はんげんぱつ新聞」編集委員/自治労脱原発ネットアドバイザー)を講師に招いて開催した、「セミナー」の第2回を踏まえて、「地域防災計画」について取り上げる。「3・11」によって「原災法」の問題点が露呈、それを原子力安全委員会の防災指針検討WGが、現在見直しており、やがて、自治体がそれを「指針」として「地域防災計画」を作成することになるのだが、ここではいち早く、WGの見直しの問題点と、問題点を踏まえた「地域防災計画」はどうあるべきか、そのポイントを明らかにする。
「既存の原発に対する規制の強化と原子力災害に対する対策の強化をはかりながら、
原発に依存しない社会・暮らしの在り方をいかに実現するか」このことが、3・11
以降、この列島に住むすべての住民及び地域自治体の共通課題になりました。そして、
地域自治体が「原子力災害対策」をどうするかが、この列島上の原発をどうするかとい
う大きな問題の焦点にせり上がってきています。
〈越境〉ネット・富山は、地域自治体が直面しているこの問題に取り組む上で、重要
だと思われる情報を伝え、取り組むべきポイントを明らかにすることを試みます。
詳しくはpdfファイルを参照ください。
資料・1 鳥取県/島根県/福井県/石川県/新潟県「安全協定」条文の項目
資料・2 「安全協定」をめぐる自治体の全国動向(2011年10月20日~12月28日) も合わせてご覧ください。
2012.1.29